8つの手順に従う板金の図面作成 図面サンプルと注意点も紹介!

板金

板金の図面をかいた経験が浅いと、何を描けばいいか分からず不安ですよね。

そこで今回は板金図面の作成手順をフローにまとめています。
あわせて板金の図面を作成する際の注意点・ノウハウも紹介します。

板金図面のサンプルも用意したので参考になれば嬉しいです!

板金の図面作成フロー

板金の図面作成は次の手順で進めていきます。

ハジメ
ハジメ

結構ボリュームありますね・・・

ベン
ベン

ボリュームがあるときこそ、
1つひとつ段階に分けてやっていこう

板金が展開できるか確認する

図面作成の前に、設計した部品が展開できるか確認します。

板金部品は大きな1枚板を打ち抜いたり、折り曲げたりして加工していきます。
1枚板に展開できずに干渉する形状は、そもそも加工できません。

板金の材料・表面処理・板厚を記載する

板金の材料・板厚・表面処理について記載します。

この情報を元に加工前の板金を用意するので、重要な情報です。
忘れずに記載しましょう。

材料・表面処理

板金でよく使われる材料と選定理由をまとめています。

図面の材料欄に記載するのが一般的です。

ベン
ベン

SECCでも端面は錆びるから注意が必要だよ

板厚

板厚は代表的な板厚から選びましょう。
板金の板厚は自由に選べるワケではなく、ある程度決まっています。

SECCとSUSのよく使う標準厚みを抜粋しておきます。

これ以外の材料や公差もJISで検索すれば調べることができます。
ただし一般に流通していないものもあるので、メーカーに確認しましょう。

図面には板厚の記載欄があればそこに記入します。
図中に記載しても問題ありません。

6面図を展開し、部品の基準を指示する

部品を6面図に展開します。
部品の加工・測定の基準を指示します。

部品には加工・測定の基準が必要です。
各寸法は基本的にこの基準から引きます。

代表的な例を紹介します。

①位置決め+振れ止め+基準面

基準が位置決め+振れ止め+基準面からなる場合です。
寸法は基本的に位置決めから引きます。

穴間の寸法など相手部品によって決まる重要な寸法は、寸法を穴間に引きます。

②外形基準+基準面

こちらは外形と基準面を基準にする場合です。

寸法は基本的に測定基準から引きます。
こちらも穴間などの寸法は、素直に穴間に入れます。

ロール目方向を指示する

曲げ線がロール目に沿わないように、ロール目の方向を指示します。

ロール目とは板金の圧延方向のことです。
板金を引き延ばしてロール材にすると、植物の繊維のように強度ムラが発生します。

ロール目に沿って曲げると強度が下がります
図のような曲げを持つ部品の場合、曲げ線とロール目が揃うのは避けましょう。

NG例

図のように曲げ線とロール目に角度がついた方向が好ましいでしょう。

OK例

図面では例えば次のように指示します。

「ロール目方向」「Rolling Direction」と矢印で表現します。
厳密なルールがあるわけではないので、誤解なく伝われば表現を変えても問題ありません。

ロール目方向をメーカーにまかせる場合は、「ロール目任意」としてもよいでしょう。

板金の外形寸法を指示する

基本的には基準から外形や穴までの寸法を指示します。
穴間など重要な箇所の間の寸法も記入します。

公差も必要であれば記入します。
一般的に板金は精度を出すのが難しいです。

参考までにJIS B 0408 を一部抜粋して掲載します。

〇抜き加工に関する一般公差

〇曲げ・絞り加工に関する一般公差

精密機械メーカーに勤めていた私の経験では、等級は普通にAのものが使われていました。

板金要素の図面指示を追加する

三角リブ

三角リブは曲げ部の剛性アップのために施します。
リブ深さ・幅を指示します。
一般的な目安としてリブ深さ2t、リブ最大幅4tがよく採用されます。

図面には次のように記載します。
表裏どちらから見た寸法を入れても問題ありません。

同じ形状の三角リブが複数ある場合は、まとめて描くことで図面が見やすくなります。
「2x寸法」と指示したり、「三角リブ共通形状」と指示します。


ビード

ビードは平面部や曲げ部の合成アップに使われます。
高さ、幅、長さを指示します。

ビード部分が薄くなりすぎる加工や体積が変化する加工もできません。
幅は3~8t、高さは5t以下が目安です。大きく外れる場合はメーカと相談しましょう。

ビードの高さ、幅、長さはビード付近に指示します。
位置は基準から指示しても、板の端から指示してもいいでしょう。

ちなみに(R)とは、なめらかな丸みで繋いでねって意味です。
ビードの端には入れなくても、問題ありません。

半抜き・釣鐘エンボス

半抜き・釣鐘エンボスは位置決めなどの突起に利用されます。
高さ・径を指示します。

高さは最大0.7tまでが目安です。
体積が維持されるよう、裏側には凹みができます。

裏側の重要でない形状はメーカのおまかせにした方がコストが下がります。
「裏側形状任意」とかいたり、カッコ寸法で寸法指示するのがオススメです。

Coming soon…

ネジ山加工の図面指示を追加する

板金部品の穴にもネジ山を加工することができますが、注意が必要です。

一般的にネジ山は3山以上確保します。
(もちろん強度に応じて3山以上必要な場合もあります)

板厚が薄いと3山確保できないことがあります。
例えばM3ネジのピッチは0.5mmなので、板厚が1.5mm以上ないと3山確保できません。

そこで、単純に穴にネジ山加工を指示する場合と、
バーリングタップの指示をする場合があります。

単純穴にネジ山加工の指示

板金にネジ穴を切る場合は、ネジ径とともに指示します。

バーリングタップの指示

3山確保するためにはバーリングタップを指示します。

バーリングとは穴の周りを伸ばして円筒をつくる加工です。
円筒を作って高さをかせぐことで、ネジ3山分の高さを確保します。

バーリングで増やせる高さの目安は、高くても2t程度でしょう。
高くするほど円筒が薄くなるので注意が必要です。

図面に描く場合は注記だけで済ませることもあります。
「M3バーリングタップ 3山以上確保のこと」などと指示します。

断面図を描いて指示する場合は、例えば下図のようにします。

バリに関する図面指示を追加する

板金のバリに関する図面指示をします。
板金は加工の過程でバリが発生しやすいです。

板金のバリは触るとケガに繋がります。
またケーブルがバリに当たると断線を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。

ダレ面を指示する

板金の抜きダレ面を指示します。
板金を打ち抜いて加工すると、図のようにダレ、バリが発生します。

Coming soon…

加工して抜いた面には全てバリが発生すると考えましょう。
ヒトが触ったり、ケーブルが来る箇所には、なるべくバリが出ないように面を指示しましょう。

ダレ面は図のように断面図や板金を横から見た図でどちら側か指示します。

マッチング(継ぎ目)箇所を指示する

マッチング(継ぎ目)の箇所も図面で指示します。

マッチングとは、抜き加工をする際の継ぎ目です。
板金を一度に打ち抜くのは大変なので、抜き加工は何回かに分けて行います。

複数回に分けた抜き加工はどうしてもピッタリ合わず、ズレが発生します。
このズレ段差がバリ同様にケガや断線を起こすんです。

段差が嫌ならマッチング逃げという凹みにすることもあります。

どちらにしろ、どこかにマッチングが発生するので、
ヒトが触りにくい箇所やケーブルが当たらない場所にくるように指示しましょう。

マッチング箇所を直接指定してもいいし、マッチング不可範囲を指定する方法もあります。

その他のバリについて記載する

ダレ面やマッチング箇所の指示で問題のバリが防ぎきれない場合は、
次の方法で個別に処理します。

①バレル研磨

小さい部品でバリ取り箇所が多い場合に有効です。
バレル型の容器の中に部品と研磨剤を一緒にいれて混ぜることで、部品のバリや角が取れます。

角やエッジが欲しい部分も、全て丸みがつきます。
表面処理も剥がれてしまうので注意しましょう。

図面には「バレル研磨にて処理のこと」と記載します。

②バリ取り処理

バリを1つ1つ手作業で処理します。
ベルトサンダーやヤスリで対応しますが、
1つ1つ手作業となると非常に高コストになることもあります。

図面にバリ不可範囲を指示し、「バリ取り処理のこと」と記載します。

まとめ・参考文献

今回は板金図面の作成手順をフローにまとめました。
あわせて板金の図面を作成する際の注意点・ノウハウを紹介しました。

皆さんのものづくりの一助になれば幸いです。

この記事は次のHP、参考文献を参照しています。

・日本産業標準調査会JISC
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html

・オーム社 JISにもとづく機械設計製図便覧(第9版)

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました