EMC対策設計 抑えておきたいESD対策ノウハウ

EMC(電気設計)

機械設計者向けに、ESD(静電気)対策について解説します。
具体的な設計事例も紹介します。

ESDについて正しく理解することで、
適切な対策を行いましょう。

ベン
ベン

今回はEMCの中でも重要なESDについて解説しよう

ハジメ
ハジメ

ESDが静電気のことっていうのは、なんとなく分かるんですけど

ハジメ
ハジメ

具体的に設計するときに、
何に気を付けたらいいのか分からないんですよね

ESDとは?

ESD (Electro-static discharge)とは静電気放電のことです。

帯電した人体などが製品に近づくと、激しい放電(静電気)が発生し、
製品の動作不良を起こすことがあります。

人体が製品に近づいた際の、静電気に対する耐性を調べるために
後述のESD試験を行います。

ESD試験

ESD試験は、帯電した人体が電子機器に触れた場合に生じる
静電気放電に対する耐性評価試験です。

電気を発生させるESDガンで、製品のいろいろな箇所を撃ちながら
製品が誤作動を起こしたりしないか調べます。

ベン
ベン

これがそのESDガン

ハジメ
ハジメ

へぇ~・・・

ベン
ベン

人に向けて撃つなよ?
結構痛いんだからな(経験済み)

ハジメ
ハジメ

い、いやだな~・・・
そんなことするワケないじゃないですか

次のようなPCBを入れる筐体を例に、
ESD試験について説明します。

ESD試験では、家電製品の多くは『接触放電』で4kV『気中放電』で8kV
2種類の試験電圧を与えます。

接触放電 4kV
露出している金属(導体)に対して、直接ESDガンをあてて放電します。
筐体が金属でなくとも、底面の板金や、固定用のネジを狙います。

気中放電 8kV
プラスチック筐体などの絶縁体上で、ESDガンを離して放電します。
普通は筐体の開口や隙間を狙います。

ESD試験について詳しくは、
静電気放電:IEC/EN 61000-4-2で定められています。

ESD対策設計 空間距離の確保

ESD対策の基本はPCBと製品外装の間に空間距離をもうけることです。
『1kV=1mm』の空間距離を確保しましょう。

これは空気の破壊電圧がおよそ1kV/mmのためです。

8kVの電圧を付与する場合は、8mm以上の空間距離が確保されていいれば、
PCB上の素子が破損するリスクを抑えられるということです。

帯電した人体、それを模したESDガンは筐体外装までしか近づかないため、
製品外装からPCBまでの距離を十分確保しましょう。

ESD対策設計 沿面距離の確保

空間距離の確保が困難な場合は、
プラスチック筐体で沿面距離を確保します。

プラスチックを迂回する形でPCBまで『1kV=1mm』の沿面距離を確保します。

筐体で使われるような1mm厚以上のプラスチックの破壊電圧は、
一般に空気よりも十分高いです。

静電気がプラスチックの壁を貫通することは、まずないと考えていいでしょう。

筐体の隙間や開口からPCBを離れた位置に配置することが重要です。
また、筐体の隙間にインローをもうけるのも有効です。

ESD対策設計 PCBをシールドで覆う

PCBをグランド接続された金属カバーで覆うことで、
PCBを静電気から保護することができます。

この方法は静電気だけでなく、あらゆるノイズ対策に対して有効です。

外部からの静電気は金属カバーに飛んだあと、グランドに流れていくため、
PCBが保護されます。

coming soon…

グランドを大きな金属などで接続し、抵抗をなるべく小さくしないと、
グランドに電気が流れきる前にPCBに飛ぶことがあるため過信は禁物です。

よくある設計ミスやトラブル対応

間に金属部品を置いちゃった

下図ではPCBまでの空間距離・沿面距離は確保していますが、
途中に金属部品があります。

この場合は静電気が抵抗の低い金属中を通過し、
金属部品の端からPCBに向けて飛ぶことが考えられます。

金属部品の分、余分に空間距離・沿面距離を確保します。

試験電圧が8kV、間に5mmの金属がある場合、
13mm以上の空間距離が必要と考えます。

②外装のネジが、うっかりPCB付近に・・・

筐体の隙間だけでなく、外装のネジなどもESDガンで狙われます。

ネジからPCBに電気が飛ばないよう、
十分な距離をあけるか、ネジ部を袋形状にして覆いましょう。

③可動する製品では、あらゆる位置・位相に注意

一部が回転したり・スライドするような製品では、
特定の姿勢で空間距離・沿面距離の確保が不十分とならないようにしましょう。

上記ルールを全て満たしても、
静電気試験でNGとなる動作不良を起こすことはよくあります。

金属カバーやシールド板金を追加できるように設計しておくと、
後々対応しやすくなります。

PCBレイアウトを変更したり、新規部品を追加するような
設計変更は間に合わない場合もあります。

そうした場合は原因となる箇所・部品を特定し、
電磁シールドテープ・絶縁テープを張り付けて対応することが多いです。

コメント

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